早期回避行動が本船への海賊アタックを挫折させる―アデン湾
当社の運航するケミカルタンカーが最近バブ・エル・マンダップ (ジブチ国とイエ―メン国間の海域) 沖を航行中、行動が怪しい小型船に遭遇しました。
本船はサウジアラビアのヤンブー港から積み荷を積載しシンガポール向けの航海でしたが、当直の見張り員が左舷後方より本船に接近してくる小型船を発見しました。
本船は船内警報を発し本船乗組員総員と乗船中の武装警備員が対応措置を取るために所定の集合し配備につきましたが、これは防衛対策行動指針(SOP)のシナリオに沿ったものでした。MSIシンガポール本社、英国海軍情報収集機関および有志連合軍特殊部隊(日本の戦艦)に直ちにこうした状況が通報されました。
今回は4・5人が乗った総計7隻の小型船が継続航行して本船に接近してきましたがついには0.62海里(1,155メータ―)に至りました。
防衛対策行動指針に従い本船は速度を上げ主機を最大回転数としました。更にフォグホーンを警笛し続けそれらの小型船に対して武装警備員を配置している事と武器が準備されていることの警告であり、さらに接近する行動を断念させるためでした。それらの小船からは本線上の武器の有無は見る事が出来ないのですが彼らは各々梯子を準備しており本船への乗り移りを思わせるには十分な意思を示しており、本船と15分に亘る並行航走を続けました。
この時点で日本の戦艦CMF151が到着しました。その外観は小型船の意図をあきらめさせるに十分で彼らは進路を並走から変更し、おそらくは母船に戻って行ったものと思われます。
乗組員総員と武装警備員のチームワークは上手く機能を果たし、その統制ぶりは極めて有効でした。このことが効果的な防衛対策行動指針(SOP)の実行のカナメとなりましたが、それも銃銃撃も無く成しえた結果があったからです。もちろんこの海域に国際軍事力が存在し海賊に対抗する効果的な防衛力が証明されたのは言うまでもありません。
私たちは耐えず乗組員に対し緊張した警備を想定して置いてもらいたい。特に、いわゆる危険海域であるアデン湾、西アフリカおよびマラッカ海峡を航行する場合において、である。そして、本船の治安維持計画(SSP)と国際船舶・港湾安全規則(ISPS)に厳格に従って安全と治安を維持することにも、たえず緊張した警備を想定しておいてもらいたい、ということであります。